和紙のふるさと 小川町

小川町観光協会

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霜里農場

 

自然の循環に寄り添い地域の循環へ
有機の種で花開いた村づくり

 

 霜里農場(金子美登さん、友子さん、宗郎さん)

 

 世界をリードする有機の里「小川町下里地区」。有機農業が異端でしかなかった時代にその種をまき、150人以上もの研修生を世に送り出し、道なき道を切り開いてきた開拓者がいる。300年続く農家に生まれた金子美登さん。公害が問題化していた農業者大学校時代に、農薬や化学肥料を使わず腐葉土で栄養たっぷりの土を作り、微生物の働きで作物の健やかな成長を促す有機農業に出会った。「自然の循環に寄り添う農業で里山と人の命を守り、地域の発展に貢献しようと心に決めました」。

 

 当初は前例がなく、「とにかく良い土を育てて、おいしい作物が実る実績を作ろうと一生懸命でした」。徐々に品質と生産が安定し、近隣の個人宅へ宅配を開始。1987年には金子さんの提案で集落の農薬散布を試験的に停止した。懸念されていた病気や害虫が発生しなかったため、有機農業に転換する仲間が確実に増えていった。更には、地元の酒蔵が無農薬米を高値で買い取ってオーガニックな酒造りに着手、有機農家を消費者と地場産業が支える豊かな循環が生まれる契機となった。

 

 就農から30年目の2001年、ついに村が動いた。集落を率いる先輩農家が、「霜里農場では若い人たちが楽しそうに農業をしていて、米も高く売れている。村の未来のために足並みを揃え、有機農業をやっていきたい」と金子さんに協力を申し入れたのだ。今では集落全体で有機農業に取り組み、米・麦・大豆を栽培。地元企業が購入し、酒や豆腐を製造、醤油や乾麺は委託製造し農家自らが販売している。これらは有機の里ならではの特産品となった。

 

 そして下里地区は、2010年に農林水産祭の村づくり部門で天皇杯を受賞、これまで以上に注目を浴びるようになった。「正直、自分が生きている間は変人で終わるのかなと思ってましたよ」と笑う金子さん。「農業ほど豊かな安心が得られる仕事はないです。好きなことを黙々と続けていたら周りの人たちが手を差し伸べてくれた。こんなにうれしいことはありません」。次なる挑戦は、農場でも取り組んできた自然エネルギーの活用と循環を町全体に広げていくこと。霜里農場の後継者、宗郎さんとともに未来への種まきは、これからも続いていく。

 

 

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